「新・巨人の星」。
言わずとしれた続編マンガの走りみたいな作品。
いきつけの古本屋に文庫版の出物があったので、ひさしぶりに通読。

巻末の解説などを読むと、この時期の梶原一騎はやはり絶頂期をすぎ、例のあの事件へ向かう下り坂にさしかかったころ、だったらしい。
作画の川崎のぼるは逆に、この他に2本の連載をかかえる売れっ子で、ためにこの「新」にはあちこち作画面での荒さが目立つことにもなっている。
元祖「巨人の星」が今なおスポ根マンガの原点として不動の地位をしめている一方で、この「新」の方がもうひとつ評価が低いのにも、それなりの理由がある訳だ。

個人的には、飛雄馬以上に「巨人の星」の作品世界を代表する登場人物であるはずの、球鬼・星 一徹が、全編通じて統一されたキャラクターでないのが、どうにも気になるんだよなぁ。
自分でさんざん、

「あれが巨人の星だ! あの星を目指せ!」

と洗脳した飛雄馬が、壊れた左腕を引きずりながら、代打専門ででもと巨人軍復帰を目指せば、ひたすらそれを邪魔したり。

いざ右腕投手として復帰をとげたなら、「新大リーグボール養成ギブス」を製作して贈ったり、「大リーグボール右一号」の開発に協力したり。

右腕の飛雄馬と、ヤクルトにテスト生として現役復帰した花形の初対決が飛雄馬の勝利に終わると、一瞬

「よし!」

と喜び、

「いや、どちらもわしの倅(せがれ)だった」

とこぼすところなんか、なかなか枯れた味で良いと思うのだけどね。

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