「バッターボックスで恋をしよう」
2002年9月2日奇しくも石井浩郎の引退表明の日、ボクは恋に落ちた。
と、こう書けたら格好良かったのだけど、現実はそんなにロマンティックには出来ちゃいない。
橋川はスポーツ少女萌えなので、やはりスポーツ少女の登場するラブストーリーとか、よく妄想…… ゲフゲフ、構想したりする。
そんな妄想…… いやいや、構想のひとつで、バッティングセンターで始まるやつがあったのだが、現実にそれに似たシチュエーションと接近遭遇。
舞台は、最近常連になりつつある、近所のバッティングセンター。
休みじゃないけど、ちょっとやって行きたくなって、夜勤前だというのに足を運んでしまった。
そして「彼女」たちと出会った。
当然と言えば当然だが、日曜日などに小学生の息子につきあって来ているお母さんとか、アベックの片割れとか、見てるだけの人たちをのぞくと、ほとんど男性ばかりのたまり場である。
(そういうところに恋愛ものの発端を持って来るあたりが、橋川の橋川たるゆえん)
そんなところで、珍しく、というよりほとんど初めて、自ら打席に入る女の子を見てしまったので、当然のように(橋川の萌え属性を差し引いても)目を引いた。
中高生くらいの二人組。
どうやら姉妹らしい。
「お姉ちゃん」と呼ばれた方が、一番端の低速80キロモードの打席に入った。
「ボクの指定席だ」
とも情けないからまさか言えず、とりあえず、橋川はとなりの同じ低速モードの打席に入った。
これも、まぁ当然だろうが、「彼女」は短いサイズのバットをとった。
となれば、すぐとなりの打席で、一応大の男である橋川が同じバットで打つ訳にもいくまいよ。
なぁ、おい。
という訳で、いつもなら短いバットで「ならし」を最初にするのだが、いきなり普通サイズのバットで本番モード。
最近、何となく橋川の打席でのしぐさも様になって来た(気がする)。
ゆったりとバットをまわしながらかまえたり、苦手なコースに手が出なかった後首をかしげたり、自打球性のあたりを大げさによけたりetc...
と、そんなことやってると、となりの打席の「彼女」がやたら良い音させてやがる。
い、いかん、少しはこっちも会心のあたりを出さねば……とプレッシャーがかかるのなんの。
ところが、ほら、いつもの「ならし」を省略しちゃって本調子でないうえ(言い訳)、そんな風にあせればあせるほど、打球は飛ばないものよね。
最近減って来ていたはずの空振りも、連続してしてしまう。
とかなんとかやってるうち、突然場内になりひびく大歓声。
「ホームラン賞」の的に、彼女の打球が当たったらしい。
な、何ぃ?
思わずふりかえる。
自分が左打ちでなくて良かったような、惜しかったような。
もしそうなら、ずっと彼女と向かい合って打っていた訳だが、そうして振り向いて、妹らしい連れとふたりではしゃぐ彼女の姿を、初めてちゃんと視界におさめた。
小説なら、ここで彼女の容姿をこまかく描写するところだろうけど、そういう訳にもいくまい。
はっとするような美少女という訳ではなく、化粧っけもなくて、今時では地味な部類に入る方だったろうけど、ショートカットで精悍と言えば精悍、スポーツ少女萌え的には、実にぐっと来るタイプだった、とだけ書いておこう。
(これだけ書けば十分だって? いや何)
上記の、橋川の妄想…… じゃなくて、構想は、まさにこんな感じで始まるストーリーだったのである。
それがいざいきなり目の前で実現してしまったら、男としてどうするべきか。
どうしようもないよなぁ、実際には。
「ボクからのホームラン賞だ」
とか言って、缶ジュースの一本も差し入れすれば、話としては面白かったかしれないが、そんなことやれるほど若くも美青年でもないよ、こちとら。
橋川がもうちょい若いか、彼女の身長がもう5センチあるか、どちらかだったら判らなかったけどね(おい?)。
夢はかなうものかもしれない。
チャンスとは訪れるものかもしれない。
それをつかめる者と、のがしてしまう者といるだけで。
これを読んでいるあなただって、明日なにげなく寄った本屋で、目のさめるような可憐な美少女と、思いがけず同時に同じ本に手をのばして、
「あ…… す、すいません……」
「いえ……(ポッ)」
ってなことになるかもしれない。
その時、君はどうする?
君はどうするか、君は?
蹂躙されて黙っているか?
悪魔の前にひざまずくのか?
橋川は失敗したけど、あなたは幸福をつかめますように。
と、こう書けたら格好良かったのだけど、現実はそんなにロマンティックには出来ちゃいない。
橋川はスポーツ少女萌えなので、やはりスポーツ少女の登場するラブストーリーとか、よく妄想…… ゲフゲフ、構想したりする。
そんな妄想…… いやいや、構想のひとつで、バッティングセンターで始まるやつがあったのだが、現実にそれに似たシチュエーションと接近遭遇。
舞台は、最近常連になりつつある、近所のバッティングセンター。
休みじゃないけど、ちょっとやって行きたくなって、夜勤前だというのに足を運んでしまった。
そして「彼女」たちと出会った。
当然と言えば当然だが、日曜日などに小学生の息子につきあって来ているお母さんとか、アベックの片割れとか、見てるだけの人たちをのぞくと、ほとんど男性ばかりのたまり場である。
(そういうところに恋愛ものの発端を持って来るあたりが、橋川の橋川たるゆえん)
そんなところで、珍しく、というよりほとんど初めて、自ら打席に入る女の子を見てしまったので、当然のように(橋川の萌え属性を差し引いても)目を引いた。
中高生くらいの二人組。
どうやら姉妹らしい。
「お姉ちゃん」と呼ばれた方が、一番端の低速80キロモードの打席に入った。
「ボクの指定席だ」
とも情けないからまさか言えず、とりあえず、橋川はとなりの同じ低速モードの打席に入った。
これも、まぁ当然だろうが、「彼女」は短いサイズのバットをとった。
となれば、すぐとなりの打席で、一応大の男である橋川が同じバットで打つ訳にもいくまいよ。
なぁ、おい。
という訳で、いつもなら短いバットで「ならし」を最初にするのだが、いきなり普通サイズのバットで本番モード。
最近、何となく橋川の打席でのしぐさも様になって来た(気がする)。
ゆったりとバットをまわしながらかまえたり、苦手なコースに手が出なかった後首をかしげたり、自打球性のあたりを大げさによけたりetc...
と、そんなことやってると、となりの打席の「彼女」がやたら良い音させてやがる。
い、いかん、少しはこっちも会心のあたりを出さねば……とプレッシャーがかかるのなんの。
ところが、ほら、いつもの「ならし」を省略しちゃって本調子でないうえ(言い訳)、そんな風にあせればあせるほど、打球は飛ばないものよね。
最近減って来ていたはずの空振りも、連続してしてしまう。
とかなんとかやってるうち、突然場内になりひびく大歓声。
「ホームラン賞」の的に、彼女の打球が当たったらしい。
な、何ぃ?
思わずふりかえる。
自分が左打ちでなくて良かったような、惜しかったような。
もしそうなら、ずっと彼女と向かい合って打っていた訳だが、そうして振り向いて、妹らしい連れとふたりではしゃぐ彼女の姿を、初めてちゃんと視界におさめた。
小説なら、ここで彼女の容姿をこまかく描写するところだろうけど、そういう訳にもいくまい。
はっとするような美少女という訳ではなく、化粧っけもなくて、今時では地味な部類に入る方だったろうけど、ショートカットで精悍と言えば精悍、スポーツ少女萌え的には、実にぐっと来るタイプだった、とだけ書いておこう。
(これだけ書けば十分だって? いや何)
上記の、橋川の妄想…… じゃなくて、構想は、まさにこんな感じで始まるストーリーだったのである。
それがいざいきなり目の前で実現してしまったら、男としてどうするべきか。
どうしようもないよなぁ、実際には。
「ボクからのホームラン賞だ」
とか言って、缶ジュースの一本も差し入れすれば、話としては面白かったかしれないが、そんなことやれるほど若くも美青年でもないよ、こちとら。
橋川がもうちょい若いか、彼女の身長がもう5センチあるか、どちらかだったら判らなかったけどね(おい?)。
夢はかなうものかもしれない。
チャンスとは訪れるものかもしれない。
それをつかめる者と、のがしてしまう者といるだけで。
これを読んでいるあなただって、明日なにげなく寄った本屋で、目のさめるような可憐な美少女と、思いがけず同時に同じ本に手をのばして、
「あ…… す、すいません……」
「いえ……(ポッ)」
ってなことになるかもしれない。
その時、君はどうする?
君はどうするか、君は?
蹂躙されて黙っているか?
悪魔の前にひざまずくのか?
橋川は失敗したけど、あなたは幸福をつかめますように。
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